2017年、26歳の時にオーストラリアのシドニーにワーキングホリデービザで滞在した体験記です。
シドニーの語学学校で英語の授業を受講
フィリピンに4ヶ月程度語学留学後、イギリスの大学学部に1年間留学したことがあったので英語の日常会話はできるという状態でしたが、ワーキングホリデービザで4ヶ月まで語学学校に通えたので知り合いを作るためにもまず語学学校通いから始めました。
IELTSコース
最初の1ヶ月はIELTSコースを受講しました。
渡航前のスコアはIELTS(Academicモジュール)7.0で、語学学校のIELTSコースは4.5くらいから受講可能だったので、幸い授業中に英語で困ることはありませんでした。
クラスメイトは30代の日本人女性が3人と台湾人の看護師の男女2人と母国でインターナショナルスクールに通っている15歳の中国人の男の子と中南米の人いう構成でした。
日本人女性3人は看護師でオーストラリア人のパートナーがいる人、夫に帯同して来ている東北大理系学部出身の人、以前オーストラリアに留学経験があり日本の外資系企業で秘書をしている人でした。
先生は意外と母国語が英語ではない人が多く(先生はほぼ移民だと思います。他のクラスの人の話を聞いてもオーストラリア人の先生はいなかったような…)、IELTSコースでは母国語がスペイン語とアラビア語の先生がいました。母国語がアラビア語の先生はIELTSの試験監督の経験もあるそうで、母国語が非ヨーロッパ言語で英語がそのレベルに達するのはすごいと思いました。
スピーキング力が高くて授業中によく発言するのは15歳の中国人の男の子Jくんと外資系企業で秘書をしている日本人女性でしたが、筆記試験の成績だと自分がトップレベルだったようで、Jくんに勝手にライバル視され、毎日隣に座られて問題演習の解答を覗き込まれてどちらがより多く得点できているか見比べられていました。
Jくんは自己主張が激しく身長も180cmくらいあって圧がすごいのですが、クラス全員で立ってホワイトボードを見ていて後ろの人が見えない時にはサラッと場所を譲れるあたりに育ちの良さが出ておりました。
IELTSはオーストラリア滞在中に何度か受験し、帰国前には7.5を取ることができました。
ケンブリッジCAEコース
ケンブリッジCAEとは Cambridge English Language Assessment の C1 Advanced のことです。CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)で外国語のレベルをA1、A2、B1、B2、C1、C2の6段階に分けていますが、上から2番目であるC1レベルの英語力があるかどうかを測る試験です。
このコースは入学試験に合格した人かケンブリッジCAEの一つ下のレベルのケンブリッジFCEを持っている人が受講できました。コースは全12週間で4週目と8週目に本番形式の模試がありました。当時語学学校で開講していたクラスの中では最難関レベルのクラスで、途中でどんどんクラスメイトが減っていきました。
クラスメイトは政府機関に勤めるドイツ人女性、母国で弁護士をやっていたブラジル人女性、IELTSクラスにもいた外資系企業で秘書をしていた日本人女性、難関K大学在学中に公認会計士試験に合格して外資系企業への就職が決まり企業の費用負担でフィリピン留学とオーストラリア留学をしている日本人男性、金融機関に勤めるナイジェリア人男性、ニートの隠れ蓑に税務署に開業届を提出して自営業を名乗る私、という構成でした。先生はスコットランド出身のイギリス人男性でした。
こちらの授業は受講生全員のレベルが高いため、それなりに緊張感がありました。自分は特にスピーキングが大変でした。
ケンブリッジCAEのスピーキング試験は以下のような構成になっています。
パート1:試験官と各受検者間で簡単な自己紹介等のやりとりをする。
パート2:試験官が示す写真を見て受検者が自分の言葉で約1分間説明する。その後写真の内容について試験官がもう一人の受検者に質問をする。
パート3:写真にまつわる情報や質問が記載されたカードが試験官より渡され、それをもとに受検者間でディスカッションを行う。
パート4:パート3のトピックに関連して、自分の意見の正当性を説明したり、前のパートよりさらに深い議論を行う。
スピーキング試験対策の授業の時、2〜3人の小グループに分かれて練習する前に先生がお手本として生徒を一人当ててその人と模擬演習をしていたのですが、ほぼいつもドイツ人女性が当てられていました。当のドイツ人女性は「なんでいつも私なの!」と言っていましたが、普段授業で見ている限りドイツ人女性がクラスで一番英語力が高く、模擬演習に適していたからだと思います。ほかのクラスメイトだと正直ちょっと厳しいだろうという先生の配慮ではないかと思いました。
スピーキングはある意味あらかじめ準備できるので自分が話せることを話せばいいのですが、スピーキングよりも実用レベルの実力があるかどうかが如実にわかってしまうのがどんな単語や表現が出てくるか分からないリスニングの方だったりします。
コースの最初の頃、先生がゲームをやると言ってゲームの複雑なルールを説明した時のことです。私は日本人女性とナイジェリア人男性と同じテーブルに座っていました。
日本人女性は留学経験もあり外資系勤務なので英語に自信があり、悪く言えば少し舐めてかかっているところがあり、IELTSクラスの時から遅刻の常習で毎日重役出勤していました。
ナイジェリア人男性も「自分はIELTS7.0を持っている」とドヤ顔で自慢してきたのですが、正直自分もIELTS7.0は持っていますしこのクラスではそのくらいのレベルは普通ではないのかと思うので自信過剰な人だなという印象でした。「ナイジェリアでは兄弟が多い人が多いけど自分は一人っ子で珍しい」というようなことも言っていました。
いざゲームを始めようとすると、日本人女性とナイジェリア人男性は自信満々であるにも関わらず先生が説明したゲームのルールをあまり理解できていないことが分かりました。そのうち先生がやってきて二人にもう一度ゲームのルールを説明していました。
別の日、クラスでリスニング問題の演習をしている時、英語の音声を聞いた後にまず私が当てられて解答した後、日本人女性が当てられたのですが、英語の音声の内容があまり聞き取れなかったらしく答えられなかったということがありました。日本人女性は同じ日本人の私が聞き取れたのに自分が聞き取れなかったことがかなりショックだったようで、その日のうちに一つ下のクラスに移っていきました。
ナイジェリア人男性は一回目の模擬試験には参加していたのですが、二回目の模擬試験の前には来なくなってしまいました。先生も「彼がなぜ来なくなったのか理由などは聞いていない」と言っていました。
日本人男性は朝一番に教室に着いた時は授業で習った単語を復習していたりするのですが、他のクラスメイトが来た途端見ていたノートを隠して「自分は必死で勉強なんてしていません」というポーズをとっていたので、エリートの世界も大変なんだろうなと思いました。小さい頃は親の仕事でスイスに滞在したことがあり、叔父(伯父)さんがN◯◯の局長らしく、電◯を受けたら面接一回で採用されたと言っていたので、電◯の貴族枠採用って本当にあるんだと思いました。
自分が話した限りでは若干他人を見下すところはあるものの(安倍総理の出身校をバカにしていました)特別性格が悪いわけでもない普通の若者という感じでしたが、ドイツ人女性から「ARというテーマでスピーキングの練習をした時に日本人男性と同じグループだったけど、日本人男性がバーチャルセッ◯スの話をしてきて困った。それを聞いた先生もドン引きしていた。」という話を聞きました。頭は良いはずなのに友達でもない一般の人にするのにふさわしくない話題がわからないのは残念だと思いました。
日本人男性は二回目の模擬試験の時にはいましたが、「ケンブリッジCAEを取っても使い道がないから本試験は受験しない」と言っており、最後の方は授業に来なくなりました。自分には勝てない勝負はしないタイプに見えたので、模試の結果が合格圏ではなかったから受験をやめたのではないかという気がしました。
ブラジル人女性は一つ下のケンブリッジFCEのクラスを受講し、FCE合格後にこのクラスを受講していました。シェフの資格でオーストラリアでの永住権取得を目標としており、語学学校修了後は料理の専門学校に入学するということでした。お祖母さんが日本人で日本に興味があり、日本語を学びたいと言っていたので誕生日に日本語の単語帳をプレゼントしました。このコースを受講している間も日本食レストランで働いていました。
窓辺で死んでいる蛾を見て「自分はbutterfly phobia(蝶恐怖症)だ」などというユーモアのある人でしたが、前述の日本人男性がエージェントの手違いで宿泊施設が取れておらず数日間野宿していた時は「いい経験ができたわね」と辛辣でした。
二回目の模試の後、結果があまりよくなかったらしくブラジル人女性は本試験の受験を断念していました。他のクラスメイトが脱落していく中、本試験の受験断念後も休まず授業に出席し続けていました。私が試験前にメンタルを病んで何度か授業を休んだ時には励ましのメッセージをくれました。この人は今でもオーストラリアで生活しているようです。
結局本試験を受験したのはドイツ人女性と私の二人だけでした。ケンブリッジCAEのスピーキング試験は2人1組で受験するのでドイツ人女性と一緒に受験しました。
試験会場は通っている語学学校の校舎だったので、語学学校の校長先生が裏から手を回して(?)スピーキング試験で一番優しい試験官を当ててくれました。
結果は私がギリギリ合格、ドイツ人女性が最高レベルのC2判定での余裕合格でした。