オーストラリアワーキングホリデー体験記②生活編(シェアハウス、仕事)

ブルー・マウンテンズ国立公園 オーストラリア

2017年、26歳の時にオーストラリアのシドニーにワーキングホリデービザで滞在した体験記です。
滞在中の豪ドルは1ドル80〜90円程度で、当時のオーストラリアの最低賃金は日本円で1500円程度でした(2024年は2000円程度)。

渡航前の状況

職業スキル:
文系学部卒・専門技能なしのため、海外で稼げるような職業スキルはなし。日本よりもオーストラリアの方が給与水準も物価も高いので、現地で稼げる職業スキルがある人は最強です(笑)

英語力:
フィリピン留学4ヶ月、イギリス留学1年で英語での日常会話はできる状態。英語の資格試験のスコアはTOEIC905点、IELTS7.0。

資金:
現地で高い給料を稼ぐ能力がないため、多めに準備。実家暮らしで株式投資もしていたため金融資産が1000万円程度貯まっていました。

APLaCの一括パックを受講

日本で弁護士として活躍した後オーストラリアに移住した方が個人で運営されているAPLaCというエージェントの一括パックを受講させていただきました。

一括パックでは自立のためのキックスタートとして
・バッパー宿の予約やチェックイン、使い方
・携帯やSIM、アクティベイト(開通)
・交通機関~Opal Cardの使用法とお値打ちな60分ルールの徹底活用法
・シェア探し(広告の読み方、アポのとり方、決め方、レントとボンドとデポジットの違い、最後はボンドの返してもらい方)、
・最低限備えた方がいいスマホのアプリと使い方
・ATMや銀行口座、タックスファイルナンバー
・食生活(スーパーの自動レジの使い方、食べきれなかった分を持ち帰る英会話、レストランで無料の水の貰い方)
などの現地ノウハウを渡航後数日間で集中的に指導していただき、基礎が出来たら、すぐに
・アルバイトの探し方
・英文履歴書の作成、安いコピーの仕方、
・ランゲージ・エクスチェンジの方法、
さらに現地でトラブルが起きた時の相談などにものっていただけるという内容でした。

一括パック・シドニーの留学ワーホリ詳細情報と現地サポート
オーストラリア滞在歴23年の日本の元弁護士が現地でサポート。あなたの個性に応じてきめ細かく丁寧に。「出来るためのステップ」プロセスを二人三脚のようにやってます。単に学校紹介にとどまるものでぇあなく、滞在中の全生活、シェア、バイト、ラウンド先...

現地到着後はGlebeのバッパーに滞在

シドニー到着後はあらかじめ日本で予約したGlebeという町のバッパー(複数人部屋の旅人用の宿泊施設)に1週間程度滞在しました。これは外国人のいる中での生活に慣れるためというAPLaCの方針でもあります。しかし自分が渡航した時は閑散期だったのか、3人部屋だったにも関わらず結局滞在中ルームメイトは一人もいませんでした。

滞在一週間目はAPLaCの事務所に行き、一括パックを受講しました。
同じ週にオーストラリアにやってきた同い年の保育士の日本人女性Aさんと同期として一緒に受講し、語学学校の申し込みやシェア(住むところ)探しを二人でやっていました。
Aさんは英語は専門でもなく、海外滞在も今回が初めてだったので、初めの頃はかなり緊張してびくびくしていました。

シェア探しはあらかじめエージェントの方がシェア募集の掲示板からまともそうな内容のものをピックアップしておいてくれて、二人で手分けをしてそれらにテキストメッセージでインスペクション(内覧)を申し込み、電車に乗ったりバスに乗ったり歩いたりしながらシドニー市内をあちこち巡って二人で一緒に部屋を見に行きました。

電車に乗っている時、白人男性が電話で英語で話しているのが聞こえてきました。聞いていると「three」を「tree」、「thousand」を「tausand」のように発音していて、thの子音がtに置換されていました。この人こんなにペラペラ英語を話しているのに英語のネイティブスピーカーではないんだな、と思って聞いていました。

オーストラリアの「シェア」という住居形態とは

オーストラリアを含め欧米の多くの国には日本のように単身向けの(1Kのような)コンパクトな住居が無いようで、大抵の単身者は日本のマンションの3LDKのような住居(フラット)の各部屋を赤の他人同士が一人ずつ借りてキッチンやトイレやシャワー室をシェアして暮らしています。部屋は個室でキッチンやトイレやシャワー室をシェアする形態をフラットシェアとよんでいました。

さらに安く住みたい場合は複数人で一部屋をシェアしていました。日本人の自分の感覚ではルームシェアならさすがにルームメイトは同性だろうと思うのですが、オーストラリアでは男女混合のルームシェアというのもあって驚きました。着替えとかどうするんだろうと思いました。シェア探し中にも男女混合のルームシェアの部屋がありましたが、欧米人はいるけどさすがにアジア人女性はいない(そういうところには住まない)ようでした。自分はフラットシェアも正直快適な住居形態ではないと感じましたが、さすがに男女混合のルームシェアは無理だと思いました。

3LDKのようなフラット全体をシェアをしているうちの一人が借りていて空いている部屋を又貸ししている場合もあれば、お金のある人(大家)が保有している物件を一部屋ずつ店子に貸している場合もありました。

シェアという住居形態はコミュニケーション能力が高くて人と関わるのが好きな人なら楽しめるかもしれませんが、価値観の異なる赤の他人と同居するという住居形態ではほとんどの人は大なり小なりトラブルを経験します。自分は家の中でまで他人と関わりたくないタイプなので、住居形態に関しては地方都市であれば月5万円程度で自分だけの部屋に住める日本の方が断然良いと思いました。

シェア一件目

シェア一件目はNeutral Bayにある集合住宅のような住居の一室を借りることにしました。家賃は週250ドルでした。部屋の中に洗面所とシャワーとトイレと冷蔵庫があり、キッチンが共用である以外は日本のマンションに近かったので住みやすいかと思いました。このような形式の部屋はマスタールーム(Master room)というようです。

Neutral Bayには鉄道の駅がなく、語学学校のあるシドニー市内に行く交通手段は主にバスだったのですが、乗り心地が悪くてけっこう酔うので、湾まで歩いてフェリーでシドニー市内まで行ったりしていました。APLaC同期のAさんも一件目はNeutral Bayにしたため、一緒に歩いてシドニー市内まで行くこともありました。

バイト先探し

通常オーストラリアで仕事を探す時は何十軒もカフェやレストランなどに直接英文の履歴書を配って回るようです。
自分の場合たまたまバイト探しどうしようかと話していた時にその場にAPLaCの先輩受講生が居合わせており、その人のバイト先のジャパレス(ジャパニーズレストランの略、日本食レストランのこと)で人を募集しているというので履歴書を持っていってもらい、面接を受けて採用されました。

アルコール類のサーブ担当になったのでRSA(Responsible Service of Alcohol)ライセンスの取得をするように言われ、1日講座を受講して簡単な筆記試験を提出してライセンスを取得しました。

ジャパレスバイトは賄いで和食が食べられたりするという良い面もあるものの、給料がオーストラリアの最低賃金を満たしていないという闇がありました。オーストラリアではカジュアル(日本のアルバイト)という雇用形態の場合、土曜日は1.2倍、日曜日は1.5倍、祝日は2倍の賃金を支払わなくてはならないという規定があります。ジャパレスバイトでの賃金は土日でも割り増しにはされていないようだったので、パートタイム(日本の正社員に近いが働く時間が短い)という雇用形態にされていたのかもしれません。試しに雇用主(家族経営の店で、その娘さん)に聞いてみたところ、「経理はお姉ちゃんがやってるからお姉ちゃんに聞いて」と言われました。お姉さんの連絡先は知らないし店で会ったこともないので、実質スルーされました(笑)

引用元

オーストラリアでのバイトの時給相場を解説|日本人のバイトの体験談や最低賃金も紹介
オーストラリアでワーキングホリデーをする場合、時給はいくらで、どのくらい稼げるのでしょうか? 本記事では、オー

シェア二件目

ジャパレスバイトは夕方5時〜夜10時過ぎくらいまでだったので、帰宅時には外は真っ暗でした。シェア一件目は閑静な住宅街にあり、夜になると暗くて人通りもなく帰宅する時に怖かったため、大通りに面していて夜でも人通りのあるところに引っ越すことにしました。

シェア募集掲示板で見つけた物件に内覧を申し込むと、貸主は30代後半と思われる永住権を持つ日本人女性でした。その人は10年以上前(2007年以前)に永住権を取得してオーストラリアに移住したとのことでした。特におかしいところもなかったので(後から思い返すとリビングにこの女性のデザインの作品がデカデカと陳列されていたのには違和感を覚えていました)、この物件に引っ越すことにしました。家賃は週240ドルでした。

ところが、いざこの物件に引っ越すとこの日本人女性の態度が豹変しました。

この人はワーホリビザでオーストラリアに来る日本人に対して「英語力が低くてお金もなくて学歴も低くてだらしのない人たちで永住権を持っている自分のような人よりも格下の存在」というような偏見があるようで、こちらを侮辱するような発言を平気でしてきました。

その人は自力で永住権を取ったのでまともに英語も話せないのに優秀な夫のおかげで永住権が取れた日本人女性のことが面白くないらしく、専業主婦の女性などを散々こき下ろした後、私に対して「お母さんは専業主婦でしょう?」と悪意のある質問をしてきました。「母は博士号を持っていて専門職として働いています。」と答えると、非常に機嫌が悪くなってしまいました。とりあえず何か話題を振ってみようと思って「永住権はどうやって取ったんですか?」と聞くと、「エージェントに聞いたら、私は職歴も学歴もあってか〜んたんにとれたぁ〜」と言われました。職歴がなんの仕事かもわからず、学歴も学士号か修士号か博士号かわからないので参考にならない上に、いい大人なんだから普通に話してほしいと思いました。

引越し初日の夜、キッチンのシンクの近くにかけてあるゴミ袋に穴が空いており、床に液体がこぼれていました。たぶんご本人独自の片付け方などがあってこちらが勝手に片付けると怒り出すのではないかと思ったのでその人の部屋まで行って聞きに行ったところ、当時まだ午後8時くらいだったので寝ていないと思ったのですが、その日はたまたま早く寝ていたらしく起こされたといってキレ出し、「なんで片付けてくれないの!お互い様でしょう!?」などと言いながら結局キレてきたので、この人多分私が何をやってもキレてくるなと思いました。

この人がなぜこんなにイライラしているかというと、どうもお金に困っているからのようでした。永住権の取得というのは年々難しくなる傾向にあり、2017年当時には既にオーストラリアで不足している仕事のリストにある職業の職務経験が何年かあり、IELTSが6.0以上ある人でないと永住権は申請できないようになっていました。この女性はオーストラリアの空港に到着した日本人を出迎えるなど日本人を相手とした仕事をしていたので、オーストラリアでバリバリ稼げるような専門技能があるようには見えませんでした。ご本人が簡単に取れたと言うように、2007年以前はオーストラリアはそこまで給与水準の高い国ではなく移民したい人も今ほど多くなく、専門技能がなくても普通の企業に勤めた職歴などで永住権が取れたのではないかと思います。

オーストラリアよりも日本の方が経済力があり、日本人の給与水準もオーストラリアよりも高かった頃であればオーストラリアで日本人を相手とした仕事をしていても生活に困らなかったのだと思いますが、日本が30年間給与水準が停滞している間にオーストラリアでは給与水準がどんどん上がって日本の方が相対的に貧乏になると、日本人を相手とした仕事では生活が厳しくなってきたと思います。

さらにこの人は当時デザイン系の学校に通っていて、学費がかかることと働ける時間が減ることでより一層経済状態が厳しくなっていたのだと思います。もし私がこの人のように30代後半で、稼げる専門技能もなく、助けてくれる配偶者や実家もなく、資産もないがまだ学校に通う学費は工面できるという状態であれば、もっと手堅く稼げるような手に職が付きそうな分野を選ぶけどな…と思いました。

そんなにお金に困ってイライラしているのであれば家賃が安いところ(もっと狭い部屋など)に引っ越して固定費を下げたら良いのではないかと思いましたが、「自分は永住権を持っている成功者だ」という感じでプライドが高く、普段からデザインを専攻していることをやたらとアピールしていて自己顕示欲も強いようで、そういう発想には至らないようでした。もうこの状態であれば日本に帰国して外国人観光客相手の商売でもした方が儲かるのではないでしょうか。(この女性の場合、日本での生活にも良い思い出がないから海外移住したのではないかという気配はしますが…)

お金に困っていてなりふり構わないからなのか、元々テイカー気質なのか、それともそもそもそういう家庭環境で育ったのか、キッチンの棚や冷蔵庫内に置いてある私の私物の家電や調味料や食べ物などを私が不在の間に物色していて、「〇〇持ってるよね?使わせて」と言ってきたり「それ(食べ物)味見させて」といって一口どころかガッツリ一食分持って行ったと思ったら翌日にまた「それ(食べ物)ちょうだい」と言ってきたりしました。自分からすると見下している相手に物をたかるという精神は理解できませんでした。相手の持っているものがそんなに欲しいのでは自分の方が持たざる者だと言っているようなものです。普通自分の方が上の立場だと示したいなら奢ったりする方じゃないでしょうか。

すぐに次の住まいを探し始めましたが、その間にも気に入らないことがあると部屋まで押しかけてきて同じ内容の話を5周くらい延々とまくし立てたり、「オーストラリアの日本人社会に居られなくなるようにお前の悪評を広めてやる」などといった脅迫のような文面のメッセージが送られてきたり(ただのワーホリの私よりも永住者のご本人の方が困るのでは…)、外出中に何度も電話をかけてきたりといった攻撃を受けていました。引っ越して6日目で次の住まいが見つかったので即入居してこのシェアからは退去しました。この女性がいない間に退去しましたが既に滞在期間以上の家賃は払ってあるので問題ないかと思っていたら、バイト先まで押しかけてきました。

「私に精神的苦痛を被らされた苦情を言うからエージェントの電話番号を教えろ」と言ってきたのでAPLaCの代表者の方の電話番号を教え、どうみても電話をかけて喧嘩を売る気満々なので「(頭が良くてものすごく弁が立つからわざわざ喧嘩を売るのはやめた方が良いのではないかという意味で)その人元弁護士ですよ」と言ったら、また火に油を注いでしまったようでした。

「翌日お金の清算をするから朝7時に来い」とまた敢えて非常識な時間を指定してきてやっと帰っていったのですが、案の定その晩にAPLaCの代表者の方に電話をかけて喧嘩を売ってコテンパンにやり返されたらしく、翌朝会った時はちょっとショボーンとした感じでしたが、相変わらず悪態をついてきました。

最後にその日本人女性が「二度と連絡してこないでください!!」と捨て台詞を吐いたのですが、こちらからわざわざ連絡などしたいはずもなく、報復を恐れているならなぜあれほど狂ったように攻撃してきたのか…と思いました。永住権を取得しても幸せになれるとは限らない、むしろ簡単に永住権が取れると移住後に現地で稼ぐ能力が不足して生活に困ることがある、ということを知る機会になったので、ある意味偉大な人生の先輩でした。

最後にこの日本人女性に会う時は、心配したAPLaC同期のAさんがついてきてくれて、この女性を刺激しないように少し離れたところで見守っていてくれました。

一連の騒動が終わった後、APLaCの代表者の方にはお詫びのために昼食をご馳走しました。

最後の物件

私はそもそもシェアのような住居形態が好きではないので、他人と同居しなくて済む住居はないものかと思い探していると、スタジオ(Studio、発音はストゥーディオみたいな感じ)というトイレ、シャワー、キッチンが占有区間内に備わっていて他人とシェアしなくて済む住居形態があることがわかりました。せっかくなのでシドニーで自分が満足のいく住環境を得るためにはいくらかかるのか試してみようと思い、スマホの不動産賃貸アプリから探していると、Chatswoodという中華系の人が多い街に駅近で帰りが遅くなっても安全で住み心地の良さそうな物件を見つけました。家賃は週600ドル(部屋代590ドル、Wifi代10ドル)でした。当時のレートで1ヶ月あたりに直すと家賃は月23万円程度となります。

ちょうど語学学校の方でケンブリッジCAEという難関の授業が始まるところで、トラブルに煩わされずに勉強に集中したかったので、ケンブリッジCAEの授業が終了するまでこの物件に住むことにしました。

この物件は非常に快適で、シドニー市内へ通学するにも電車一本で済み、電車はラッシュ時でも人の間に隙間があるくらいでしたがラッシュ時の30分前に乗れば座れるくらい空いていました。Chatswood駅周辺は中華料理店も日本食料理店もあり、駅前にアジア系食材店もあったので食べるものには困りませんでした。タワマンのような建物の10階だったのでエレベーター待ちが若干めんどくさかったですが、そこまで混雑しておらず、幸い長時間待たなければいけないことはありませんでした。

ただし家賃が月23万円もすると長期での滞在は難しいので、自分の場合は長期で住むなら東京でも駅近の単身者用の物件に月10万円もあれば住める日本の方が適していると思いました。オーストラリアは短期で留学か旅行に来る方が永住するよりも楽しめると思いました。

最低賃金以下のジャパレスバイトをしながらシェア生活を続けてまで長期滞在をしたいとは思わなかったので、結局ラウンドやセカンドワーホリのためのファームには行かず、ケンブリッジCAEの本試験が終了した後に日本に帰国しました。滞在期間は合計6ヶ月程度でした。

さらに快適な住居を求める場合はサービスアパートメント

自分はスタジオで十分快適に生活できましたが、さらに上の住居形態もあります。キッチン、トイレ、シャワー室などを他人と共用しなくてすむ日本のマンションのような住居形態で、家事サービス付きのサービスアパートメントというものです。

自分でサービスアパートメントに滞在したことはありませんが、ワーホリの翌年にシドニーに5週間の短期語学留学をした時、クラスメイトの経営者のロシア人女性に滞在先のサービスアパートメントに招待されたため、中を見る機会がありました。シェアとは別次元の快適な住居環境でした。ただし家賃は一月で50〜120万円はかかると思います。

↓その時の体験談

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