フランス語学留学体験記

ハロウィンのかざり フランス

2019年4月〜2019年12月の約9ヶ月、フランスのルーアンに語学留学した体験記です。

フランスに語学留学しようと思った理由

英語を長年学んで上級レベルの試験(ケンブリッジ英検C1(CAE)、IELTS7.5など)にも合格してはいるものの、母国語がヨーロッパ言語の人たちと比べると上級レベルの語彙の乏しさが気になっていました。(まあ、英語含めヨーロッパ言語同士は文明の起源がローマやギリシャで同じで上級レベルの語彙が共通しているので当たり前なのですが。日本語は中国語や韓国語と上級レベルの語彙が共通していますよね。)

かといって英語力の向上のために現在では使われていないラテン語や古典ギリシャ語を学ぶのは学者でも貴族ではない庶民の自分にはハードルが高かったので、現在でも使われていて話者数も多いラテン系言語であるフランス語かスペイン語を学んでみようと思いました。

結局、イギリスがフランスに征服されて支配者層の言語がフランス語だった時期があるなどしたことから英語にはフランス語由来の言葉が多いこと、単純にフランスに行ってみたかったことからフランス語を学んでみることにしました。

留学先の選定

フランス語が全くの初心者だったのでフランス留学センターという留学エージェントを利用させていただきました。フランス留学センターのホームページに提携している語学学校の情報が掲載されており、その中からパリ以外で滞在先も申し込めてDELF対策コースがあることからFrench in Normandyという学校に留学することにしました。

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コースはSEMI INTENSIVEコースを36週間、最後の10週間のみ午後に試験対策コースを追加しました。

↓語学学校外観。閑静な住宅街にあります。

授業

SEMI INTENSIVEコースは午前中のみでした。フランスタイムは朝が遅くて休憩が長いので、午前の授業時間は前半が9:00〜11:00、30分の休憩を挟んで後半が11:30〜13:15でした。休み時間に特にやることがない時は近所にある植物園を散歩していました。

午後の授業時間は14:00〜15:30、15:45〜16:45でした。

↓植物園(Jardin des Plantes de Rouen)

クラスメイト

欧米系の人が多かったです。特にフランス語圏以外のスイス人が多くいました。日本人もそれなりにおり、一緒にレストランや観光に行ったりしました。

印象的だったクラスメイト

・授業にあまり出席しないアフリカ人男性
結婚しており母国に妻子がいる。修士号を持っており英語もできる。他のクラスメイトも彼が何をしているのかよくわからないらしい。噂では難民申請をしているらしいが、困ってそうな感じはしなかった。

・トビタテジャパンの給費奨学金を得て語学留学とインターンをしている日本人男性
挨拶がわりに自分の出身大学を紹介し、相手にも出身大学を聞いてくる人。「自分は将来金稼ぐ」発言をしたり「女は体売って稼げるからいい」発言をブチかましてしまったりするので女性受けはすこぶる悪かった(それを聞いた日本人女性が怒って「男もホストして稼げるだろ!」と言っていた)が、アラジンの実写版を見て「強い女性良い」とか言っていたので男尊女卑というわけでもなさそう。たぶん中高一貫の男子校出身で大学と大学院も男性だらけの工学部なので偏った思想に素直に染まっているのだと思われた。インターンの準備で授業中によく電話がかかってきて授業を抜けていたのでフランス人男性の先生に「ビジネスマンッ!」と皮肉られていた。

・フランス人のフィアンセがいるイギリス人女性
毎日車で片道1時間かけて語学学校に通っていた。午後のクラスもとっており、私の試験対策コースが始まってから昼休みによく話すようになった。私が「東アジア人は目が小さいのがコンプレックスだから一重瞼でも二重瞼に整形したりつけまつげをつけたりする。色白の方が美しいという価値観があるから特に女性は日焼けするのを嫌がる。」という話をしたところ、「自分は自分の顔が鏡に写っているのをみると目が大きくて青白くて幽霊みたいで嫌だ」と言っていた。

・授業中に生にんじんをかじるスイス人女性
おやつとして毎日生にんじんを持参し、授業中にお腹が空いてくるとかじっていた。授業中に机の上に食べかけのにんじんが置いてあり、ぽりぽり音がする方を見るとかじっている状態だった。にんじんが気になって仕方がなかったがご本人は良い人だった。

・同じ日にDELFを受験したスイス人女性
ドイツ語圏のスイス人だがお母さんはフランス語が堪能だそう。何ヶ月か同じクラスだったけどこの人はDELFのB2(B1の一つ上のレベル)を受験していた。日本人よりもスイス人の方がフランス語の上達が早いのは母国語とフランス語の近さとフランス語を使う機会があるかの差が大きいと思った。

・母国語がスペイン語の中南米出身の男性
母国語とフランス語の近さとコミュニケーション能力の高さからかものすごい速さでフランス語が上達していった。途中1週間くらい同じクラスだったことがあるが私がDELFのB1を受験するのと同じ日にDALFのC1(B1の二つ上のレベル)を受験していた。(これは中国語を学ぶと逆のことが起こり、欧米人はよほどの中国語マスターでもない限りなかなかHSK6級(一番上の級)は取れないが、日本人で中国語の基礎があってそこそこ勉強が得意な人なら1年も語学留学すればHSK6級に合格できる)

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滞在先

滞在先は語学学校が提携しているアパートにしました。自室内にシャワー・トイレ・キッチンがあって他人とシェアしなくて済む形態の住居だったので快適でした。しかし、自分の部屋の向かいに運悪く集団で集まって騒ぐ男性たちが滞在しており、学校から帰宅するときにドアを開けっぱなしにしてどんちゃん騒ぎをしていたり、夜に「フォーーーーーー!!!!」という謎の奇声を発したりしていました。

アパートの管理人のおじさんにフランス語で「向かいの部屋に大勢の男性たちがいて大声で騒いでいて困っている」という内容を書いた紙を渡したら注意してくれたのか、状況は改善しました。

外国人留学生も住居手当(アロカシオン、CAF)をもらえる

フランスでは学生ビザで滞在している外国人も住居手当をもらうことができます。フランスで銀行口座を開設し、滞在先の管理人(大家さんなど)に書類に記入してもらい、CAFに書類を提出して申請すると、留学終了まで毎月銀行口座に住居手当が振り込まれるようになります。

アロカシオンの申請について | フランス留学センター
今回は「アロカシオンの申請について 」お話しします。CAF(La Caisse d’Allocations Familiales カフ )と呼ばれる機関が援助手続きを行っています。補助金支給額は賃貸料や学生の収入の状況により見積もられるため...
フランスの家賃補助「アロカシオン」の金額と申請方法 | フランス語勉強の教材
フランスには外国人留学生でも利用できる家賃補助の制度があります。予算に限りがある留学生にとって、とてもありがたい制度ですよね。今回はフランスの住宅手当について覗いてみましょう。

French in Normandyには日本人スタッフの方がおり、銀行口座開設のために日本人留学生をまとめて現地の銀行まで引率してくれました。留学生に住居手当が支給されることを快く思わない現地の方もいるそうですが、幸い滞在先の管理人さんは書類に記入してくれたので、住居手当の申請をすることができました。

↓ルーアンのCAFの場所

フランス語力はどのくらい向上したのか

留学前は完全な初心者だったのでアルファべから学びました。発音はヘッタクソでしたが簡単な日常会話はできるようになりました。留学の終わりがけの12月9日にDELFのB1を受験し、57/100(合格点50点)でなんとか合格しました。

ルーアンの残念なところ

路上に犬の糞が多い

ルーアンの住宅地を歩いていると50mに一個くらいの割合で犬の糞が落ちていました。語学学校の先生は「自分たちは犬の糞を掃除するからなぜあんなに犬の糞が落ちているのかわからない」というようなことを言っていましたが、普通に犬の糞を拾わない飼い主が多いんだと思います。住宅街にはたくさん落ちていましたが観光地には落ちていませんでした。

フランスにはエスカルゴ(かたつむり)を食べる文化があります。日仏交流会で日本語がペラペラなフランス人に聞いたところ、フランス人の中には庭などで捕まえたエスカルゴを料理して食べる人もいるそうです。雨の日には犬の糞の近くをエスカルゴが這っている光景をよく見かけました。本当にあのエスカルゴを捕まえて食べているのかと思いました。

微妙にアジア人蔑視がある

道を歩いているとよく(教育水準があまり高くなさそうな)黒人男性からすれ違いざまに「ニーハオ」と言われました。この場合はあまり悪意は感じず、ただ単にアジア人=中国人という認識しかないのだろうという感じでした。クラスメイトの日本人女性が「こんにちは」と言い返してやったと言っていました。

アジア人が嫌いそうな白人や不満を大声で喚き立てている黒人女性には「シノワー」と言われました。シノワー(Chinois)は中国人という意味ですが男性形であり、女性形はシノワーズ(Chinoise)です。女性一人や女性だけでいるときにもシノワー(Chinois)呼ばわりされていたので、蔑称として使う場合は英語の不可算名詞(fishやsheepなど)のような感じになるのかなと思いました。

このような残念な面もあるものの、有名な観光地にも行くことができ、全体としては楽しい留学でした。

ルーアンの面白いところ

↓つけまつげ乗用車(2019年5月10日撮影)

↓ぶら下がりサンタクロース(2019年12月5日撮影)

留学後にフランス語を使う機会はあるのか

ないです(笑)
日常生活ではフランス語を使う機会はないので自習するかフランス語のレッスンを受講するかでもしないとフランス語を使う機会はありません。正直かなり忘れたと思います。
当初の目的だった「上級レベルの英語の語彙力の増強」に効果があったかどうかは微妙ですが、英語の語彙の中にフランス語由来と思われるものを見つけるとにっそりとほくそ笑むという楽しみはできました。

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