2010年代と2020年代にイギリスのヒースロー空港を利用した経験から、2010年代と比べて2020年代の方が改善されたと思う点について解説します。
入国審査が自動化された
2019年5月20日から日本のパスポート所有者は自動化ゲート(eGate)が利用できるようになりました。入国審査が自動化される以前は長蛇の列に並ばなければいけませんでした。

私が最初にイギリスのヒースロー空港を利用したのは、2010年、大学主催のケンブリッジで行われる短期語学研修に参加した時のことでした。この時は1ヶ月間の滞在だったのでビザなしの渡航でした。ヒースロー空港は混雑しており、日本からヒースロー空港に向かう飛行機がなかなか着陸できずに上空を20分くらい旋回していました。当時は飛行機に乗り慣れておらず酔ってしまい、気分が悪い状態で長蛇の列に並びました。数十分並んでやっと入国審査の順番が回ってくると、特に質問攻めにされるわけでもなくなぜか5分くらい待たされました。大学主催の語学研修で受け入れ先からのレターも提出した状態でした。気持ち悪くてぼーっとしていたので実際の時間よりも長く感じた可能性はありますが、質問されれるわけでもなく無言で待たされたのは謎でした。
その後は個人で手配したホームステイに行く時と、2014〜2015年にかけて1年間イギリス留学をした時に何度かヒースロー空港から入国しましたが、列に並ぶ時間は長くても入国審査自体はすんなり通れたため、最初の語学研修の時ほど入国審査に時間がかかることはありませんでした。
入国審査を通過するのに1時間近くかかるため、入国審査が終わって預け入れ荷物を取りに行くと、いつも荷物が全て出終わって何周も回っている状態でした。エコノミークラスだと荷物が出てくるまで待つ必要がないのである意味得な気もしますが、荷物がプライオリティで早く出てくるクラスの人(プレミアムエコノミー以上)は特典の意味がない状態でした。
2020年代になってヒースロー空港を利用すると、入国審査が自動化されており、10分もかからずに入国できるようになっていました。空港も改装されたのか綺麗になっていました。
空港職員の接客態度が改善された
2014〜2015年のイギリス留学中、イギリスから日本に帰国するためにヒースロー空港でセキュリティチェックの列に並んでいた時のことです。
セキュリティチェックのレーンがいくつかあり、その手前で空港職員が各レーンに利用客を仕分けしていました。並んで待っている間その職員を見ていると、白人の利用客に対しては「Ma’am」などと言いながらにこやかにレーンを示しているのに対して、アジア人の利用客に対しては無言・仏頂面でレーンを示すだけでした。私の番が来た時も案の定無言・仏頂面でレーンを示されました。「あー今人種差別をされたんだなー」と思いました。
この人種差別をしていた職員は白人ではなく、肌の色がアフリカ人並みに濃いけどアジア人に分類されると思われる人(南アジアか中東あたり?)でした。どう見てもイギリスでは人種差別をする側というよりされる側だと思います。大人になってヨーロッパに行くまで人種差別と無縁で過ごしてきた自分には客の人種によって態度を大きく変えるという発想すらありません。この人はおそらく移民の二世か何かで子供の頃からイギリスで暮らしており、人種差別をされながら育ってきたのではないかと思いました。海外で人種差別をされるなら変な国だなーと思ってもう行かなければ良いだけですが、セキュリティチェックの空港職員であれば国籍はイギリスだと思うので、自分の国籍国で人種差別をされるというのは逃げ場がないためなかなかハードモードの人生だと思いました。
2020年代に入ってからはヒースロー空港を利用していてあからさまな人種差別だと思う経験は今のところしていません。セキュリティチェックでも2021年後半から3D画像を使用し、高度な爆発物検出能力を持つ「HI-SCAN 6040 CTiXコンピューター断層撮影装置」が導入されており、液体物やノートパソコンを荷物から取り出さなくて良くなっているので、待ち時間が短くなっています。職員も全体的に以前よりもフレンドリーな雰囲気になったように感じます。

結論:ヒースロー空港は以前よりも良くなった
以前は入国審査の長蛇の列と長い待ち時間、人種差別で不快な思いをするなどの理由であまり好きではない空港でしたが、2020年以降は入国審査・セキュリティチェック共に以前のような混雑が解消され、空港職員の接客態度も良くなったので、他のヨーロッパの大規模な空港よりも利用しやすい空港になったと思います。