Courseraというオンライン学習プラットフォームを通じでロンドン大学のBachelor of Science in Computer Science (BScCS)という学位が取得できるコースを修了し、コンピューターサイエンスの学士号を取得した体験談です。最短3年、最長6年在籍できるコースで、2019年の10月から開始し、最短の3年間で必要な科目を全て受講して卒業しました。

ロンドン大学のCSの学士号コースを受講した理由
2019年、なにか手に職をつけたいと思って当時流行って(?)いたプログラミングの学習を始めました。プロゲートをやってみたりオンラインのプログラミングスクールを受講してみたりしましたが、「正直これ(プログラミングスクール)で手に職がつくようになるの?なんかちょっと簡単な作品を作ってポートフォリオとか就職斡旋とか謳ってるけど結局若さとかやる気とかのポテンシャル採用でしょ?」という感じでもう少ししっかりと学んでみたいと思いました。また日本以外の国ではプログラマーは専門職なので大学でCSなどを学んだ人が就く高給取りの仕事ですが、日本ではなぜか文系学部卒や高卒などの全く専門教育を受けていない人が就くブラック職種という感じで不思議に思っていました。
2019年4月にハーバード大学卒の女性ビジネスパーソンが書いた意識高いビジネス書(いまこそ知りたいAIビジネス)を読んでいると、Courseraというオンライン学習プラットフォームがあることを知りました。海外の意識高いビジネスパーソンは働きながらオンラインで学習して新しい分野を学んだり、既に持っている学位と別の分野の学位を取得したりしているそうです。2019年当時はCoursera上で提供されている学位が取得できるコースはCS修士号2つ、CS学士号1つだけでした。私は文系学部卒でCSの基礎は全くないため学士号から挑戦したいと思っており、この唯一の学士号を提供していたロンドン大学のBachelor of Science in Computer Science (Machine Learning and Artificial Intelligence)を受講してみることにしました。
入学要件
大まかなことはCourseraのAdmissionsのページに書かれています。

日本の学校教育を受けた人に対する学業資格の要件:
このページの下部のGeneral entry requirementsのところでJapanを選択すると表示されます。

We accept qualifications from around the world. See an indicative list of what we accept from your country and view in conjunction with the specific course entry requirements.
The value of each qualification is indicated with an O, A, S or G
Key:
O – Equivalent to GCSE/GCE O level.
A – (or AS) is equivalent to GCE A/AS level.
S – satisfies the specific requirements for a named course or the specific and the General Entrance Requirements for a named course.
G – satisfies General Entrance Requirements as a whole. You may still require course-specific requirements (e.g. Mathematics) plus English language proficiency.
Find out more about entrance qualifications.Upper Secondary School Leaving Certificate: provided an overall average of at least 4 (out of 5) is achieved in all subjects taken over the 3 year period. In addition applicants must provide sufficient evidence confirming that they have been offered a place to study a degree at a recognised (National, Public or Private) Japanese higher education institute.
GKotogakko Sotsugyo Shomeisho (Upper Secondary School Leaving Certificate): comparable to UK GCSE grade A – C / 9 – 4 provided grade 2 – 5 is achieved on a subject for subject basis in final year of schooling (with the exception of English Language)
OKotogakko Sotsugyo Shomeisho (Upper Secondary School Leaving Certificate): Mathematics passed at grade 3 – 5 in final year of schooling satisfies the Mathematical programme requirement for all BSc degrees in Computing and the EMFSS Independent Learner Route grade 9 – 5 / A – B requirement
S
当校では世界中の資格を受け入れています。当校があなたの国からどのような資格を受け入れているかを示す一覧表をご覧ください。
各資格の価値は、O、A、SまたはGで示されています。
キー
O – GCSE/GCE Oレベルに相当。
A -(または AS)は GCE A/AS レベルと同等。
S – 指定されたコースの特定の要件、または指定されたコースの特定の要件と一般入学要件を満たす。
G – 一般入学資格全体を満たす。コース固有の要件(例:数学)に加え、英語力が必要となる場合もある。
入学資格についての詳細はこちらをご覧ください。高等学校卒業証明書(Upper Secondary School Leaving Certificate):3年間に履修した全科目の総合評定平均が4以上(5段階中)であること。さらに、日本の高等教育機関(国公立、私立を問わない)で学位取得を目指すことが内定していることを証明する十分な書類を提出しなければならない。
G高等学校卒業証明書(Upper Secondary School Leaving Certificate):英国GCSEのA~C/9~4級に相当し、最終学年において科目ごとに2~5の評定を取得すること(英語を除く)。
O高等学校卒業証明書(Upper Secondary School Leaving Certificate): 最終学年において評定3~5で合格した数学は、コンピューティングにおけるすべての理学士号の数学プログラム要件およびEMFSSインディペンデント・ラーナー・ルートの9~5級/A~B要件を満たす。
S
・GCSE(General Certificate of Secondary Education)のOレベル(Ordinary Level):イギリスの国家試験のひとつで、義務教育修了の認定資格。16歳で受験する基本的な内容の試験。授業科目を選択し、Year 10,11を通して授業を受け、Year 11の終わりに最終試験を受ける。
・GCE A/ASレベル(General Certificate of Education Advanced/AS Level):イギリスの大学入学資格。18歳で受験する専門的な内容の試験。どのAレベルの科目をどのグレードで取得したかによって、どの大学へ入学できるかが決められる。ASレベルはAレベルの前の段階の課程。
参考:

イギリスでは日本の大学の1年次の教養課程に相当する部分まで高校のAレベルで学習するため、基本的には日本の高校を卒業しただけではイギリスの学士課程に直接入学することはできません。一般的に通学制のイギリスの学士課程に出願する場合、最終学歴が高卒の人又は大卒以上だが出願分野の基礎がない人が条件なしの直入学をするためにはファウンデーションコースの修了か出願分野と同分野の日本の大学の学部の1年次修了が求められます。
ロンドン大学の入学要件では「sufficient evidence confirming that they have been offered a place to study a degree at a recognised (National, Public or Private) Japanese higher education institute(日本の高等教育機関(国公立、私立を問わない)で学位取得を目指すことが内定していることを証明する十分な書類)」とあり、「高校卒業資格+大学の合格通知」で一般入学資格全体を満たす(G)が、コース固有の要件(例:数学)が科されることがあるようです。個人的に大学の学部がCSに近い分野に指定されていないのが気になりますが…。日本の学校教育の英語は英語圏で評価されていないので、IELTSなどの英語の試験のスコアは別に必要となります。
さらに、高校三年の評定2以上の科目(英語以外)はイギリスのOレベル相当、高校三年の評定3以上の数学はコンピューティング系の理系学士課程の数学の入学要件を満たす、というようなことが書かれています。
上記を総合すると高校を評定平均4.0以上の成績で卒業し、高校三年次の数学の評定が3以上で、大学の合格通知があれば条件なしの直入学が認められるように読み取れます。日本とイギリスは高校卒業〜大学入学あたりのシステムが違いすぎて互換性がないので、入学要件は各大学の個別判断となります。
ロンドン大学の入学要件が甘めに設定されているのは、通信制であれば通学制のように教室の広さなどの収容人数の制限がないため門戸を広くしておき、その中からカリキュラムを完走できる人だけ卒業させれば良いからでしょう。コロナ禍中は入学する人が一気に増えて事務やら採点やらがパンク寸前でした。
出願当時、私が持っている学位は以下の通りでした。
- 日本の高等学校卒業(三年次に数学は何科目か履修していて評定は3以上だが女子校で全体的に理系科目が少なめ)
- 日本の大学の法学の学士号(ただし教養課程ですら数学などの理系科目は全くなし)
- 日本の薬学部の1年次修了の成績表(数学、物理、化学、生物等を履修)
- イギリスの薬学部の1年次修了のCertificate
理系科目が弱い高校と大学の成績表と卒業証明書だけでは不安だったのでダメ押しで日本の薬学部の1年次修了の成績表とイギリスの薬学部の1年次修了のCertificateも提出したところ、条件なしの直入学をすることができました。
↓卒業証書と一緒に送られてきたイギリスの高等教育システムの説明

母国語が英語ではない人に対する英語力の要件:
英語の要件についてはこのページに書かれています。

日本人に関係ありそうなところを抜粋すると以下のようになります。
Awards
The following awards satisfy our English language requirements for all undergraduate courses.Cambridge Certificate of Proficiency in English.
Cambridge English Language 1119 conducted by the University of Cambridge Local Examinations Syndicate (grade 6).
International General Certificate of Education (IGCSE): English as a Second Language (grade B).
Awards issued by the following authorities are accepted for all undergraduate courses, provided they have been awarded within the past three years:
International General Certificate of Secondary Education (IGCSE): English as a Second Language (grade C).
The following proficiency tests are accepted for all undergraduate courses, provided they have been awarded within the past three years:
APTIS: must achieve an overall CEFR score of at least B2 equivalent with at least B2 equivalent in each sub category.
Cambridge Certificate of Advanced English.
City & Guilds International ESOL 8984 Mastery award.
Duolingo: must achieve an overall score of at least 105.
(IELTS) International English Language Testing System: 6 overall, with 5.5 in each sub-test (Academic or General or IELTS Indicator Online Test).
Password English Language Test: 6 overall, with 5.5 in each sub-test.
Pearson Test of English, Academic: 54 overall, with 54 in Reading and Writing elements.
University of Cambridge Local Examinations Syndicate (UCLES) Business English Certificate, Level 3 only (BEC 3 award).
(TOEFL) iBT Test of English as a Foreign Language (including Special Home Edition test): 87 overall, with 21+ in Reading and Writing sub-tests and 19+ in Speaking and Listening sub-tests.
アワード
以下のアワードは、すべての学部課程で必要な英語力を満たすものである。ケンブリッジ英検C2(CPE)
ケンブリッジ大学地方試験シンジケートによるケンブリッジ英語検定1119(グレード6)。
国際一般教育修了証(IGCSE): 第二言語としての英語(グレードB)。
以下の機関が発行した証明書は、過去3年以内に授与されたものに限り、すべての学部課程で認められる:
国際中等教育修了証(IGCSE): 第二外国語としての英語(グレードC)。
以下の能力試験は、過去3年以内に授与されたものであれば、すべての学部課程で認められる:
APTIS:CEFRの総合スコアがB2相当以上で、各サブカテゴリーでB2相当以上であること。
ケンブリッジ英検C1(CAE)
City & Guilds International ESOL 8984 Masteryアワード。
Duolingo: 総合スコア105点以上。
(IELTS) International English Language Testing System: 総合6点、各サブテスト(アカデミック、ジェネラル、IELTS Indicator Online Test)で5.5点以上。
パスワード英語テスト:総合6点、各サブテストで5.5点。
Pearson Test of English, Academic: 総合54点、ReadingとWritingの要素で54点。
ケンブリッジ大学地方試験機構(UCLES)のビジネス英語検定、レベル3のみ(BEC 3 award)。
(TOEFL)iBT外国語としての英語テスト(特別ホーム・エディション・テストを含む): 総合87点、リーディングとライティングのサブテストで21点以上、スピーキングとリスニングのサブテストで19点以上。
私はオーストラリアワーホリ中にケンブリッジ英検C1(CAE)とIELTS7.5を取得していたので、IELTS7.5の方を提出しました。
↓幸い5.5未満の項目はなし

IELTSの要件が「6 overall, with 5.5 in each sub-test」となっていますが、普段英語を使って生活していない人がこれをギリギリ満たすくらいの英語力で入学すると、入学後に英語で地獄を見ると思います。入学前に英語力は上げられるだけ上げておくことをおすすめします。
ちなみにIELTS6.0とケンブリッジ英検C1(CAE)ではケンブリッジ英検C1(CAE)の方が断然難しいです。オーストラリアの語学学校でCAEのコースを受講して取得しましたが、クラスメイトがどんどん減っていく脱落者続出のコースでした。
イギリスの学士課程(bachelor)の成績評価方式
イギリスの学士課程の成績評価方式は日本やアメリカのGPA方式とは異なります。40点以上が合格であり、70点以上はかなり良い成績(GPA方式の90点以上)です。

ロンドン大学の成績評価方法:
Types of assessment
The structure of assessment can take one of three types:Type I: Coursework 50%, Written examination 50%
To pass the module you must get at least 35% in each element of summative assessment and a combined weighted average of at least 40%, subject to the application of rules for compensation
Type II: Coursework I 50%, Coursework II 50%
To pass the module you must get at least 35% in each element of summative assessment and a combined weighted average of at least 40%, subject to the application of rules for compensation
Type III: Coursework I: Initial Report 30%, Coursework II: Final Report 70%
To pass the module you must get at least 35% in each element of summative assessment and a combined weighted average of at least 40%, subject to the application of rules for compensation
評価の種類
評価の構成は、3つのタイプのいずれかに分類される:タイプ I:コースワーク 50%、筆記試験 50%
モジュールに合格するためには、各要素の総合評価で 35%以上、合計加重平均で 40%以上の得点を得る必要がある。
タイプ II: コースワーク I 50%、コースワーク II 50
モジュールに合格するためには、各要素の総合評価で 35%以上、合計加重平均で 40%以上を取得する必要がある。
タイプ III:コースワーク I:初回レポート 30%、コースワーク II:最終レポート 70
モジュールに合格するためには、各要素の総まとめ評価で 35%以上、合計加重平均で 40%以上を取得する必要がある。
半年のうちで大変(山場)なのは中間レポートの時期と期末レポート&期末試験の時期です。この2つの時期以外はそれほど忙しくありません。
引用元:

卒業時の成績は、以下のように上の学年の科目ほど重みを大きくした平均点で計算されます。イギリスの学士課程は全日制の場合3年制で、一年目の科目がレベル4、二年目の科目がレベル5、三年目の科目がレベル6に分類されます。どのHonoursで卒業したかは卒業証書に記載されます。(first class、upper second class、lower second class、third classなど。Linkedinのイギリス人の投稿を見る限りfirst classかupper second classなら自慢げに投稿できる感じ。)一学年(1レベル)あたり120単位が必要で、最長修業年限の6年以内に360単位を取得すると卒業できます。
When calculating your final degree classification, a relative weighting of 1:3:5 will be applied to modules at Levels 4, 5 and 6 respectively.
最終的な学位分類を計算する際、レベル4、5、6のモジュールにはそれぞれ1:3:5の相対的加重が適用される。
引用元:
https://www.london.ac.uk/sites/default/files/regulations/progregs-computer-science-bsc-2024-25.pdf
最長修業年限の6年以内に360単位を取得できなかった又は途中で退学した場合:
Exit Awards
If you are unable to complete your studies, or you have passed modules to a total value of less than 360 credits, you may be eligible for an ‘exit award’; that is a Certificate of Higher Education in Computer Science or a Diploma of Higher Education in Computer Science.
If you have successfully completed at least 300 credits, but less than 360, including Introduction to Programming I, you may be considered for the award of a pass degree in Computer Science. However, you will not be eligible for any of the specialist degree awards.
If a student has successfully completed at least 240 credits, with a minimum of 90 credits at Level 5, you may be considered for the award of a Diploma of Higher Education in Computer Science.
If you have successfully completed at least 120 credits, with a minimum of 90 credits at Level 4, you may be considered for the award of a Certificate of Higher Education in Computer Science.
修了証書
学業を修了できない場合、または合格したモジュールの合計が360単位に満たない場合、「修了証」、 すなわちコンピューターサイエンス高等教育修了証(Certificate)またはコンピューターサイエンス高等教育修了証(Diploma)の授与を受けることができる。
プログラミング入門 I を含む300単位以上360単位未満を修了した場合、コンピューターサイエンスの学位取得が認められる。ただし、スペシャリストの学位は授与されない。
少なくとも240単位(レベル5で最低90単位)を修了した場合、コンピューターサイエンス高等教育修了証(Diploma of Higher Education in Computer Science)の授与が検討される。
少なくとも120単位(レベル4で最低90単位)を修了した場合、コンピューターサイエンス高等教育修了証(Certificate of Higher Education in Computer Science)の授与が検討される。
スペシャリストの学位(specialist degree awards)というのはBachelor of Science in Computer Science (Machine Learning and Artificial Intelligence)の「Machine Learning and Artificial Intelligence」の部分のことです。入学時にどのspecialismにするかを選んで三年次にそのspecialismに必要な科目を履修すると学位がBachelor of Science in Computer Science (Machine Learning and Artificial Intelligence)のようにspecialist degree awardsになります。
引用元:

科目の内容:レベル4(一年目)
前学期:
一年目は自分以外で2、3人日本人の学生を見かけました。一番最初の半年間はまだ新型コロナウイルスが流行し出す前で、最終試験は所定の日時に日本に三か所(東京、大阪、福岡)あるテストセンターに受験しに行かなければなりませんでした。受験するのに受験料もかかり(三科目で5万円くらい)、試験場が遠方で宿泊費もかかりました。
Introduction to programming I
変数、条件、関数、ループなどの基本的なプログラミング技法を学ぶ科目。
成績 コースワーク1:100、コースワーク2:90、最終成績:95
Discrete Mathematics
離散数学。論理学、集合論、組合せ論、グラフ理論などを学ぶ科目。
成績 コースワーク1:97、期末試験:98、最終成績:98
How Computers Work
低レベルのハードウェアから複雑なWebアプリケーションのアーキテクチャまで、コンピュータがどのように動作するかを理解する。
成績 コースワーク1:60、期末試験:66、最終成績:63
Algorithms and Data Structures I
アルゴリズムとデータ構造。ベクター、キュー、スタックなどの抽象データ構造(配列やリンクリストを使った抽象データ構造の実装)、検索アルゴリズム(線形探索とバイナリ探索)、並び替えアルゴリズム(バブルソート、挿入ソート、クイックソート、マージソート)、アルゴリズム設計のテクニックとしての再帰、最悪の場合の時間の複雑さ(計算のRAMモデル、Big O記法と計算の複雑さ)など。
成績 コースワーク1:95、期末試験:90、最終成績:93
後学期:
この学期から期末試験がオンライン受験になりました。
Introduction to Programming II
p5.jsでアプリケーションを作ったりする科目。写真はUFOにホルスタイン牛が吸い込まれるアプリケーション(課題です)。

成績 コースワーク1:81、コースワーク2:72、最終成績:75

Computational Mathematics
数体系、特殊関数、グラフ作成、線形代数、組合せ論と確率論など。
成績 コースワーク1:99、期末試験:96、最終成績:98
Fundamentals of Computer Science
大学レベルの論理と集合+コンピューターサイエンスで必要な数学というような感じの科目。
成績 コースワーク1:96、期末試験:97、最終成績:97
Web Development
ウェブ開発。主にHTML、CSS、Javascript。前半ではチームに分かれて小規模なプロジェクトに取り組み、チームプロジェクトを提出する。後半では個人プロジェクトに取り組む。
成績 コースワーク1:83、コースワーク2:64、最終成績:70
科目の内容:レベル5(二年目)
前学期:
二年目から日本人の学生をほぼ見かけなくなりました。
Object Oriented Programming
オブジェクト指向プログラミング。JUCE(デスクトップおよびモバイルアプリケーションの開発に使用されるオープンソースのクロスプラットフォームC++アプリケーションフレームワーク)で延々とアプリケーションを作る科目。
成績 コースワーク1:69、コースワーク2:89、最終成績:79
Software Design and Development
ソフトウェアの設計と開発。プログラムの分析、ユニットテスト、セキュア・プログラミングなど。
成績 コースワーク1:75、期末試験:59、最終成績:67
Programming with Data
様々なソースからデータを取得し、わかりやすく有益な方法でデータを視覚化し、有用で共有可能にするためにデータを処理し、仮定をテストし、豊富なデータセットの複雑さを探求するためにデータを推論する。Pythonでデータを可視化する科目。中間課題が自由すぎて指示が少なくて何をして良いのかよくわからなかったのでこのBScCSのコース中最低点を叩き出しました。期末試験で予想外に良い点が取れたので最終成績はまあまあ良い点数になりました。
成績 コースワーク1:44、期末試験:97、最終成績:71
Computer Security
コンピュータ・セキュリティの必要性とそれを支える技術についての理解を深める科目。セキュリティシステムの数学的基礎を学ぶ理論的要素と、セキュリティ設計の落とし穴を発見し、小さな例題に取り組むことでプロトコルの基礎となる数学を理解するための実践的要素の両方を備えている。
成績 コースワーク1:90、期末試験:73、最終成績:82
後学期:
2年後期と3年前期はなぜか良い成績が取れました。
Agile Software Projects
ユーザーのニーズを満たし、組織のビジネス機能をサポートするソフトウェアを作成するために現代的な方法を使用してソフトウェア開発の洞察力と実践を提供することを目的とする科目。現実世界の問題に対する技術ベースのソリューションの概念化、ユーザーの要求事項の充足、一般的および予測される市場条件によって課される制約、およびプロトタイプから得られた教訓を考慮する能力を身につけることを目的とする。中間・期末ともに他の学生と5人くらいのグループでアプリ開発をした提出物で評価されました。
成績 コースワーク1:87、コースワーク2:89、最終成績:88
Graphics Programming
学習者は、まず、ベクトルと力を使って画面上の要素をアニメーションさせる独自の物理エンジンを構築することから始る。このようなシステムの基本を学んだ後、既製の物理ライブラリを調べる。後半では、まず3Dグラフィックスに注目し、その後、画像の基本要素であるピクセルについて深く掘り下げていく。ピクセルの読み取りと操作の基本を理解した後は、これらのテクニックを他のテクニックと組み合わせて、コンピュータ・ビジョン・アプリケーションや画像処理フィルターのプログラミングに使用する。毎週プログラミング演習だらけの科目。
成績 コースワーク1:88、コースワーク2:90、最終成績:89
Algorithms and Data Structures II
第1部ではアルゴリズムに焦点を当てる。アルゴリズムの分析方法、再帰的アルゴリズムのマジック、データをソートするための遅いアプローチと速いアプローチ、そしてデータを検索する新しい速い方法など。第2部ではデータ構造に焦点を当てる。動的な線形データ構造から始まり、ツリーやヒープといった階層的なもの、そして最終的にはグラフを学ぶ。
成績 コースワーク1:77、期末試験:78、最終成績:78
Databases, Networks and the Web
主に開発の観点から、SQLでのデータモデリングとデータベース実装に関連する問題に重点を置いて、リレーショナルデータベースシステムについて学ぶ。データベース内のデータをモデル化し、データベースからデータを取得し、動的なWebアプリケーションを通してデータへのアクセスを提供する方法を学ぶ。特に、リレーショナルモデル、クエリ処理、通信を可能にするネットワークの概念について学ぶ。
成績 コースワーク1:88、期末試験:81、最終成績:85
この科目はほぼ「スッキリわかるSQL入門」という本で乗り切りました。(私が使っていたのは第2版でしたが)
科目の内容:レベル6(三年目)
前学期:
三年次の科目はBScCS入学時に選択したspecialismであるMachine Learning and Artificial Intelligence色の濃いものが増えてきました。BScCSのレベル6の科目はもっとたくさんあり、学生が好きなものを選択できるようになっていると思いますが、あらかじめspecialismを登録している場合は履修すべき科目が始めから決められており、ほとんど選択の余地はありませんでした。
Databases and Advanced Data Techniques
データについての考え方やデータの扱い方を学び、データの収集、処理、共有の倫理を探求し、セキュリティの問題を検討する。また、テキスト、オーディオ、ビデオなどのリッチな(単なるテキストだけでなく、画像、動画、音声など、多様な形式の情報を含むこと)データソースと、それらを扱うための戦略についても学ぶ。
成績 コースワーク1:85、期末試験:82、最終成績:84
Machine Learning and Neural Networks
ニューラルネットワークの探求を含む、様々な機械学習技術を学ぶ。回帰、分類、クラスタリング、行列補完、パターン認識などの一般的な機械学習問題の解き方、ディープニューラルネットワークの探求を含め、ニューラルネットワークとその学習方法、最適化方法について学ぶ。ニューラルネットワーク・ソフトウェア・ライブラリについて学び、機械学習システムを迅速に開発できるようにする。
成績 コースワーク1:78、コースワーク2:70、最終成績:74
Artificial Intelligence
前半はBio-inspired computing、robotic science、pybulletで変な動きをするクリーチャーを作る、など。後半はgame playing AI、OpenAI gym、automated music composition、voice synthesisなど。写真はpybulletで作ったクリーチャー。プログラムを動かすと勝手に気持ち悪い動きをします。



成績 コースワーク1:79、期末試験:90、最終成績:85
Intelligent Signal Processing
オーディオやビデオ信号がどのようにキャプチャされ、コンピュータプログラムによって処理されるか、時間領域と周波数領域の表現と処理、音声信号から情報を抽出する方法を学ぶ。インテリジェント信号処理では、コンピュータ・システムを使用して、実世界に存在する様々な信号から意味のある情報をキャプチャ、保存、再生、処理、そして重要なことに抽出する方法を学ぶ。
成績 コースワーク1:89、コースワーク2:88、最終成績:89
後学期:
Final Projectが30単位(他の科目は15単位)なので3科目しかなく、開放感で気が抜けました。
Mobile Development
モバイル開発のエコシステムの概要だけでなく、設計、開発、およびテストReactNativeを使用して構築されたクロスプラットフォームのモバイルアプリを作成する方法を学ぶ。ポケモンずかんアプリを作りました。
成績 コースワーク1:66、コースワーク2:78、最終成績:74
Natural Language Processing
Jupyter Notebookでの演習、fake news detection、sentiment analysis、spam detection、document tagging、統計学(F値の計算)など。
成績 コースワーク1:76、期末試験:66、最終成績:71
Final Project
監視カメラで撮影された映像から侵入者を検知するアプリ(もどき)を作りました。実際は侵入者かペットかを識別するというこじつけで写っているのが人間の顔・犬の顔・猫の顔・鳥のどれなのかを認識するアプリです。人間の顔を識別するライブラリはまあまあ精度が高かったですが、犬の顔・猫の顔・鳥を識別するライブラリは精度が低かったです。
成績 コースワーク1:68、期末試験:56、最終成績:66
学費は毎年値上げされる
学費は半年ごとに履修登録した分だけ支払う方式でした。
入学した頃は一科目15単位あたり600ポンドでしたが、いつの間にか630ポンド、660ポンドになり、最後の年には日本の消費税10%まで課税されるようになったりと、どんどん支払う金額が増えていきました。
日本では学費が毎年上がることはなかなかないですが(最近インフレで国立大学の学費も値上げされましたが)、イギリスでは様々なものの価格が凄まじいスピードで値上げされていきます。
卒業式の案内が2週間前に突然送られてきた
このBScCSのコースでは課題を提出してから成績が発表されるまでに3ヶ月ほどかかります。2022年の9月には期末試験が終わり三年後期の科目の履修を終えて、12月下旬には成績も出ていましたが、卒業に必要な単位を取り終わったにも関わらずその後何の音沙汰もありませんでした。そのうち何か連絡があるだろうと思って放置していると、2023年の2月下旬に突然「2023年3月の卒業式への招待状が届いていないことが判明いたしました。ご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。」という出だしで始まる2週間後(3月上旬)の卒業式の案内のメールが送られてきました。卒業式は2日間午前と午後の合計4回開催され、そのうちの一つの時間帯を選択して参加するという方式でした。
ちょうどその時期にカナダへの短期語学留学に行く予定ですでに語学学校・滞在先・航空券は手配済みだったので、モントリオール滞在中にイギリスのロンドンで行われる卒業式に参加することになりました。日本人はイギリスにビザなし渡航ができるので2週間前に知らされても参加できましたが、ビザを取得しないと渡航できない国籍の人は次の機会でないと参加できないと思います。相変わらずイギリスの事務のクオリティはアレだな(婉曲表現)と思いました。
卒業式の1日目の午後の日程は既に満席になっていました。後で知ったのですが、ロンドン大学のChancellor(総長、実際は名誉職)はアン王女であり、この日程はアン王女がご臨席されるので人気だったようです。
卒業式は写真のような感じで、トランプの絵札のような格好をした人たちが壇上に並んでおり、謎の杖(The Chancellor’s Mace(職杖)というらしい)が飾られていました。卒業生は一人ずつ名前を呼ばれ(舞台袖で名前の読み方が間違っていないか確認されます)、壇上の赤い絨毯の上を歩き、Vice-Chancellor(副総長、実質的な大学のトップ)と握手しました。

卒業証書に記載される内容
学位名:Bachelor of Science
成績:First Class Honours
分野:Computer Science
専門分野:Machine Learning and Artificial Intelligence
のように記載されています。